啐啄同時(そつたくどうじ)という言葉をご存知ですか？
「啐(そつ)」とは、卵の中のヒナが『もうすぐ生まれるよ』と内側から殻をつつく音。「啄(たく)」とは、そんな卵の変化に気づいた親鳥が、『ここから出てきなさい』と外側から殻をつつく音。殻を破る者と、それを導く者。そんな両者の「啐」と「啄」が、少しもズレることなくピタリと同時に行われるというのが師弟の理想であり、この「啐啄同時」という禅語の示すところとネットで詳しく解説されています。
人の成長に携わらせてもらっています私は、この考え方を立証する場面に度々遭遇します。こちらは、何とかその殻を破って成長して欲しいと願っていても、殻にさえ気づいていない部下を前にすると、まだ時期尚早なんだと自分の気持ちを収めることになります。反対に、やる気満々で成長しようと奮闘努力している部下にとって、それを見守る、支援するリーダーがのらりくらりでは、いつまでたっても成長できず、やがては力尽きてしまいます。
良いリーダーに出会えることは、部下にとっては素晴らしいこと。反対に素直で、努力を怠らない部下に出会えるリーダーも有難いことです。
私自身、そういう部下を前にして有難さがしみじみ込み上げてきます。
